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はさみのお手入れ方法 - TOOL CARE


外山刃物の鋏は、職人が鋼を熱して叩き、金属の密度を高める「鍛造」という工程を経て作られています。高炭素鋼(High Carbon Steel)と、利便性を追求したステンレス鋼(Stainless Steel)両方の素材を「鍛造」し製造しています。素材による特性の違いはありますが、私たちが一貫して大切にしているのは、その圧倒的な「切れ味」と「耐久性」手入れをすれば一生使い続けられるという「道具としての誠実さ」です。正しく扱えば驚異的な耐久性とパフォーマンスの持続性を発揮しますが、放置すればその輝きを失ってしまいます。鋏のメンテナンスは、単的な掃除ではなく、継続することで道具の寿命を延ばし、作業の安全性を確保し、そして何より、あなたの大切な庭の植物を病気から守るための不可欠なものなのです。




ここでは、外山刃物が推奨する 「鋏の手入れ」を解説します。

  • 汚れ・ヤニ・錆をどう取り除くか

  • なぜ除菌が重要なのか

  • 切れ味を保つための正しい研ぎ方

  • 錆を防ぎ、次シーズンまで美しく保つ保管法


私たちは、日々のお手入れを一つの独立した作業ではなく、一連の「流れ(フロー)」として捉えています。汚れたまま研いでも刃を傷めますし、除菌せずに油を塗れば、病原菌を刃に閉じ込めてしまうことになります。


推奨する手入れ方法は4つのステップとなります。


  1. 除去: 汚れ・ヤニ・軽度の錆を落とす

  2. 除菌: 目に見えない細菌やカビを洗浄す

  3. 調整: 砥石で切れ味を整える

  4. 保護: 防錆油でコーティングし、保管する


それぞれの工程が次の工程の効果を最大化します。清潔で滑らかな表面があって初めて、精密な研ぎ直しが可能になり、最適なコンディションを油で封じ込め整えることができると考えています。



1.日常の基本ケア 其之壱 「汚れ・ヤニ・軽い錆を落とす」


庭仕事が終わった後、最初に行うべきは「汚れの除去」です。

















植物を切ると、刃には必ず「ヤニ」が付着します。植物の樹液は微酸性を含んでいることが多く、これが炭素鋼に付着したまま放置されると、急激な酸化(錆)を引き起こします。また、ヤニが固まると左右の刃の摩擦抵抗が増え、切れ味が鈍く感じるだけでなく、鋏の開閉が重くなり、作業者の手首に負担をかけてしまいます。


ここで私たちが推奨するのが、「 ERASER(ヤニ・サビ取りイレーザー)」です。これは柔らかいゴム状の研磨剤で、砂消しゴムのような感覚で研磨することができます。砥石と比べ、削りこみが軽く刃の精密な形状を崩すことなく簡単にヤニ・サビを除去できます。


  • 多機能: ヤニの除去、泥汚れ、表面に浮いた初期の錆を同時に落とせます。

  • 形 状: 薄型で柔軟性があるため、鋏の重なり合う狭い隙間にも入り込み、汚れをかき出すことができます。


使い方は非常にシンプルです。刃の表面を消しゴムで文字を消すように、軽くなぞってください。


  • 力を入れすぎない: 強くこすりすぎると、刃の鏡面仕上げに不要な傷をつける可能性があります。軽い力で一定の方向に削ることがポイントです。

  • 粉を拭き取る: 使用後は、イレーザーから出たカス(粉)を乾いた布で必ず拭き取ってください。この粉が残っていると、後述する油の馴染みが悪くなります。


これは、基本の重要なステップです。




2.日常の基本ケア 其之弐 「除菌・洗浄による清潔管理」


汚れを落としたら、次は目に見えない部分のケアです。




















お手入れで最も見落とされがちなのが「除菌」です。植物の剪定の際、鋏は多くの樹木に触れます。もし一本の木や植物が病気にかかっていた場合、その鋏を介して庭全体の植物に病気を蔓延させてしまうリスクがあります。また、付着した有機物が腐敗し、不衛生な状態になるのを防ぐ必要があります。


「TOOL CARE(ツールケア)」は、業務用で活躍する園芸鋏専用の除菌洗浄液です。


  • 浸け置き可能: 液に浸けるだけで、複雑な構造の可動部までしっかり除菌できます。

  • クリーニング:付着したばかりのヤニは液体で拭き取ることで簡単に落とせます。

  • 防錆成分配合: 通常、水ベースの洗浄液に炭素鋼を浸けると錆びますが、本製品は防錆成分を配合しているため、長時間液体に漬け置きしても錆びは発生せず安心して使用できます。


  1. 浸 け る: 容器に液を入れ、鋏の刃先からカシメ(軸)の部分までを浸します。

  2. 拭き取る: 数分後、取り出したら清潔な布で水分を残さず拭き取ってください。

  3. 液の管理: 液は繰り返し使えますが、1ヶ月を目安に交換してください。

  4. 注 意 点: 浸け置きする際は、容器に蓋をしないでください。密閉すると湿気がこもり、錆の原因となる場合があります。

  5. ※すべての菌を除去できるわけではありませんが、日常的な衛生管理には極めて有効です。




3.日常の基本ケア 其之参 「切れ味を保つための研ぎ直し」


鍛造鋏の最大の魅力は、自分で研ぐことで「切れ味が蘇る」ことです。





















「切れ味が落ちた」と感じる前に研ぐのが理想です。切断時に枝が逃げる感覚があったり、切り口がささくれていたりする場合は、既に研ぎのタイミングを過ぎています。抵抗が増した刃で植物を無理に切り続けると、植物の導管を潰して枯死の原因になりかねません。


私たちが推奨するのは、鋏を分解せずに研げる「薄型オイルストーン(中目 #320)」です。


  • 分解不要: 日本の鋏は構造上、分解せずに研ぐことが一般的です。この薄い砥石なら、刃が重なっている部分にも差し込んで研ぐことができます。

  • 汎 用 性: 刈込鋏やナイフなど、他の園芸道具にも使用できる標準的な粒度です。


うまく研ぐポイントは「削りすぎないこと」です。


  1. 刃角を守る: もともとの刃の角度を変えないように、砥石を水平に当てます。

  2. 整 え る: 「新しく刃を作る」のではなく、摩耗したエッジを「整える」イメージで数回滑らせるだけで十分です。 






4.日常の基本ケア 其之四 「防錆と保管のための仕上げケア」


最後の仕上げは、湿気から鋏を守るバリアを作ることです。























仕上げには、日本製高品質防錆油「ラストール」を推奨します。 これは単なる潤滑油ではありません。金属表面に強力な皮膜を作り、酸素と水分を遮断することのできる要となるアイテムです。また、粘度が最適化されており、鋏の開閉を驚くほどスムーズにする効果も発揮します。


  • 薄塗り: 刃全体に油を数滴垂らし、布で薄く伸ばします。

  • 可動部への注油: カシメ(ネジの部分)に一滴注すと、動きが軽やかになります。

  • 余分を拭く: 油を塗りすぎると、次回使用時に土やゴミを吸着してしまいます。最後に清潔な布で軽く拭き上げ、「しっとりしているがベタつかない」状態を目指します。


  • 湿気を避ける: 湿度の高い納屋や、地面に直接置くのは避けましょう。

  • すぐに出さない: 使用直後に革ケースに入れると、ケース内の湿気で錆びることがあります。手入れ後は少し空気に当ててから収納してください。




5.よくある失敗と注意点


素晴らしい道具を台無しにしてしまう、よくある間違いをご紹介します。


  1. 水洗いの放置: 汚れを落とすために水洗いするのは構いませんが、その後すぐに乾かさずに放置するのは致命的です。鋼にとって水分は天敵です。

  2. 防錆油の塗りすぎ: 「多ければ良い」わけではありません。埃を呼び寄せ、結果として砥石のような研磨作用が働いてしまい、可動部を摩耗させます。

  3. 強い研磨: 荒い砥石やグラインダーで力任せに研ぐと、刃の寿命を劇的に縮めます。

  4. 「錆=不良品」という誤解: 炭素鋼に錆が出るのは、それが「純粋な鋼」である証拠です。錆びたからといって捨てないでください。イレーザーと砥石があれば、ほとんどの鋏は復活します。



まとめ|道具を育てるという価値



私たちが提案するのは、単なる「消費」ではなく、道具を「育てる」という体験です。

私たちの鋏は、適切にケアをすれば20年、30年、あるいはそれ以上使い続けることができます。使い込むほどあなたの手に馴染み、研ぎ直すたび刃はあなたの癖を覚えていきます。

道具の手入れに費やす時間は、決して無駄な時間ではありません。それは、次の剪定で植物に優しい最高のカットをするための準備であり、道具への敬意を表すものでもあります。

お手入れの道具を揃えることは、新しい鋏を買うのと同じくらい、あなたの園芸生活を豊かにしてくれるはずです。ぜひ、今日からあなたの鋏に愛情を注いであげてください。








 
 
 

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